匠の土づくり講座 21
14.10.21
連載21 「土壌診断③ 注意すべき苦土・加里比」
前回は土壌のpHが低い結果が戻ってきた事例を紹介しました。
今回はその逆、pHが高い診断診断結果が戻って場合です。
診断結果のpHは7.0以上です。
通常、土壌診断ではこのpHの状態をアルカリ土壌と呼んでいます。
アルカリ土壌では石灰が多いことを示していることが多いのですが、
多くの生産者は「野菜作りには石灰(白い粉)は必ず撒く!」と消石灰
や苦土石灰などを撒いています。
これは正しい土づくりではないことにもうお気づきのことと思います。
pHが高い場合には一切石灰資材を撒かないことが最善の対策です。
また、pHが高いから下げなければならないと思われがちですが、
そのような資材に頼る必要は一切ありません。
交換性石灰、苦土、加里の適量は「土の胃袋」であるCEC(塩基交換容量)
の大きさにより変わるので、その絶対量ではなく、
塩基飽和度と塩基バランスから評価することが必要です。
結論から言えば前者は80%、後者は石灰:苦土:加里=7:2:1となればよい
と考えられています。
とくに注意したいのは苦土・加里比で2~6程度が適当です。
牛ふん堆肥を多量に撒いている圃場では、加里が過剰になりやすい傾向にあります。
そのような圃場には堆肥を撒く量を減らすこと、基肥や追肥の加里を減らすように
したいです。
また、苦土・加理比の低下が苦土の欠乏による場合もあります。
このような場合に、土壌のpHが高い場合には硫マグを低い場合には
水マグを施用するとよいバランスになります。