匠の土づくり講座 20

14.08.21


連載20 「土壌診断② 結果が戻ってきた」


一ヶ月前に分析に出した土壌診断の結果が返ってきました。


難しい用語やクモの巣の図が描かれています。

まず、分析値をじっくり見ていきましょう。畜産農家の私も、

事実当初は全くこの分析値の意味はわかりませんでした。


土壌診断は、人間の健康診断に合い通じる点が多く、たとえば、

pHは体温、ECは血圧に相当し、高くても低くても健康を維持する

ことは困難です。


以前にもお話をしましたが、一般の作物ではpHは6.0~6.5が最適で、

これより低い圃場では必ずと言っていいほど処方箋に

「pHが低いので石灰資材を投入しましょう。」

と記載されているはずです。

しかし、安易にこれを受け入れ石灰資材を投入することは本当の

意味の「土づくり」にはなりません。

pHが低い理由を考え、適切な対応をすることが重要です。

結論を言えば、石灰資材を投入するかの判断はECと塩基飽和度

により決定するのが正しい診断です。


私たちの体もそうです。なぜ血圧が高いのか、一時的なのか。

重要な病気が隠れていないか。

したがって、ECが0.5以上、あるいは塩基飽和度が70%以上であれば、

たとえpHが低くても石灰資材の投入は行ってはいけないのです。

その理由は、土壌の酸性(pHが低い)が交換性塩基

(石灰や苦土や加里)の欠乏ではなく、硝酸の集積に起因している

からなのです。


このような事例はとくにハウスやマルチを張った露地野菜や花き圃場

に多く見受けられます。

誤って石灰資材を投入してしまうと見かけ上pHは改善されますが、

ますますECや塩基飽和度は増加し、土壌環境の悪化を招く結果と

なります。

ちなみに硝酸の集積は肥料あるいは堆肥の多量施用によるものが多く、

根本的な施肥の見直しが必要な土壌とも言えます。