匠の土づくり講座 5
13.05.27
連載 5「土を知ろう② よくある話「腐植」」
今回は、土壌の細かな機能などについて紹介していきます。
私も勉強したての時はさっぱりわからないことばかりでしたが、内容を深めていくうちに大変興味
深くなってきました。
多くの耕種農家さんが「土の腐植を増やすには有機質肥料を大量に入れれば良い」と信じています。
もちろん、私のお客さんにも鶏糞を入れると腐植が増えるからなあ!と呟いて、
お帰りになる方もお見えになります。
土壌の中の有機物は、腐植以外にも粗大有機物というものが含まれています。
これらは、植物の根や残さ、有機質肥料などが土壌に施用されて、土壌微生物による
分解を受けたもので、肥料成分の供給や土壌の物理性を改善するなどの働きを
担っています。
さらに、本当に永い年月をかけて最終的には腐植の材料になっていくそうです。
また、有機物を施用すると土壌微生物が増えて、土の肥料成分を貯めておく役割
を果たしてくれます。
要するに、有機質肥料などの有機物を施用する目的としては、土壌の「腐植」を増やすことよりも、
土壌微生物においしい「エサ」を供給することと考えれば合点がいきます。
このように考えれば、まんざら有機質肥料を撒くことも苦にはなりませんし、
大量に撒くこと意味がないことも理解できるはずです。
また緑肥も一つの有機物を投入する手段であることを少し念頭に置いておくと
きっと良いことがあるかもしれません。