匠の土づくり講座 9
13.09.18
連載 9「土を知ろう⑥ 土の塩」
しょっぱい。高血圧症には良くない食塩(しょくえん)は、食品中に含まれる最も身近な塩類です
この食塩の正体は、塩化ナトリウムであり、土の塩もこの塩化ナトリウムである「食塩」と同じ
だろうという方は多いでしょう。
実は、土の塩はほとんどが土壌改良資材や化学肥料由来のものなのです。
化学肥料の多くは塩そのもので、硫安(硫酸アンモニウム)や塩加(塩化カリウム)
などがその代表です。
したがって、皆さんがよく気にされる塩類は、作物の生育にとって必要不可欠な
養分そのものということになります。
しかし、現状では露地栽培ではこの塩が土壌に残留することはあまりありませんが、
雨水が進入できないハウスでは、施肥する度に塩が蓄えられています。
では、土の中ではどのようなことが起きているのか考えてみることにしましょう。
たとえば、塩化カリウムを土に施すと、水に溶けて塩素イオンとカリウムイオン
に分かれます。
マイナスイオンである塩素イオンは土に吸着されにくいのですが、カリウムイオン
の多くは土に吸着されている交換性のプラスイオンと交換されます。
交換する相手はプラスイオンで多量に存在しているカルシウムイオンであること
が多く、その結果土の中には塩化カルシウムという塩が作られるのです。
土壌からはずれたカルシウムイオンは、水に溶けやすいカルシウムと呼ばれ、
植物の根から吸収されたり、雨水によって流れてしまいます。露地では流れ、
ハウスでは貯まってしまうの塩。おもしろいですね。