匠の土づくり講座 16
14.05.08
連載16「土のしくみ② 土の水持ち」
桜満開も終わりそろそろ梅雨の準備にかかる時期となりました。
土壌の話もどんどん進めていきます。
土壌中の細かな隙間(正式には孔隙(こうぎき))では、土壌粒子の周りに
ある水と空気の境界に発生している力によって水が保たれています。
少し驚きですよね。
隙間が水を保つ力は、その隙間の大きさにかなり依存しているのです。
水を入れた容器に細い管と太い管を立ててみます。細い管の水面はかなり
高くなっています。
これは、細い管の水に表面張力という力が働くため、管の中の圧力が外の
圧力に比べ低くなり、その圧力差に見合うだけの水が引き上げられた結果です。
一方、太い管は逆に水面が低くなっています。
つまり、細い管ほど吸引力が強まっているということなのです。
このことを土に置き換えてみましょう。
土壌中の隙間が粗く粒径が大きいほど、隙間が水を吸引する力は弱いはずです。
逆に隙間が細かく粒径が小さくなるほど、隙間が水を吸引する力は強くなります。
このように、砂っぽい土は土壌粒子が粗いため、大きな隙間が多くなり「水持ち」
が悪くなるのですが、よく言われる排水の良好な土なのです。
一方で黒ボク土は土壌粒子が細かいため、細かい隙間が多くなり、
重力よりも強い力で水を保つことができるのです。
土の中にある隙間は、水の排水路であると同時に、水の貯留庫で
あることをしっかりと理解していただけましたか?